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【もしもその時】台湾有事の際、依願退職できるのか?

結論から申し上げます。
台湾有事が深刻化し、内閣総理大臣によって「防衛出動命令」が下された瞬間から、自衛官は自分の意思で退職することができなくなります。

「職業選択の自由があるはずだ」と思うかもしれませんが、自衛官に関しては、国の存亡に関わる非常時において、公共の福祉(国民の命)が優先されるため、法的に退職権が制限されます。

根拠法令:自衛隊法 第64条「退職の制限」

これが最も重要な条文です。有事の際、自衛官を強制的に留め置く法的根拠となります。

自衛隊法 第六十四条(退職の制限)
隊員は、第七十六条第一項(防衛出動)、第七十八条第一項(命令による治安出動)若しくは第八十一条第二項(警護出動)の規定による出動命令が発せられた場合又はこれらが発せられることが予測される場合において、内閣総理大臣又は防衛大臣が特別の必要があると認めて指定する期間内は、内閣総理大臣又は防衛大臣の許可を得なければ、退職することができない。
【解説】
台湾有事は、日本の「存立危機事態」あるいは「武力攻撃事態」と認定される可能性が高いです。
この認定を受け、総理大臣が自衛隊に「出動」を命じた場合(あるいは命じられそうになった場合)、自衛官の退職届は受理されなくなります。
つまり、「危ないから辞める」という選択肢は、法的に封鎖されます。

もし命令を無視して逃げたら?(罰則規定)

「退職できないと言われても、職場に行かなければいいじゃないか(バックレればいい)」と考える人もいるかもしれません。
しかし、平時の無断欠勤と異なり、防衛出動時の職場放棄は「犯罪」となり、重い刑罰が科せられます。

自衛隊法 第百二十二条(防衛出動命令に従わない罪)

以下の条件に当てはまる者は、七年以下の懲役又は禁錮に処する。

  • 正当な理由がなくて職務の場所を離れ、三日を過ぎた者
  • 上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しなかった者

【解説】
平時の脱柵(脱走)であれば、懲戒免職などの行政処分で済むことが多いですが、有事の際は「7年以下の懲役」という刑事罰が待っています。
これは、敵前逃亡と同義とみなされるため、極めて重い責任が問われます。

予備自衛官なども対象になるか?

現役だけでなく、退職後に予備自衛官や即応予備自衛官になっている方も同様です。

自衛隊法 第六十六条(即応予備自衛官等の招集)
防衛大臣は、防衛出動命令が発せられた場合…(中略)…内閣総理大臣の承認を得て、即応予備自衛官及び予備自衛官に対し、防衛招集命令書により、自衛官となって防衛出動を命ぜられた部隊等の業務を行うべき旨を命ずることができる。

招集命令に応じない場合も、同様に「3年以下の懲役又は禁錮(第123条)」という罰則があります。

まとめ:入隊時の「宣誓」の意味

自衛官が入隊する際、必ず行う「服務の宣誓」には、以下の一節があります。

「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」

台湾有事などの有事において「退職できない」というのは、この宣誓を法的に担保するための仕組みです。

結論:
防衛出動命令が出る前(緊張が高まっている段階)であれば、退職は法的に可能です(ただし、強力な慰留や手続きの引き伸ばしに遭う可能性は高いです)。
しかし、ひとたび「命令」が下れば、退職への道は閉ざされ、任務を放棄すれば犯罪者となります。

自衛官という職業は、それほどまでに重い責任と覚悟を背負っているのです。

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