結論から申し上げます。
台湾有事が深刻化し、内閣総理大臣によって「防衛出動命令」が下された瞬間から、自衛官は自分の意思で退職することができなくなります。
「職業選択の自由があるはずだ」と思うかもしれませんが、自衛官に関しては、国の存亡に関わる非常時において、公共の福祉(国民の命)が優先されるため、法的に退職権が制限されます。
根拠法令:自衛隊法 第64条「退職の制限」
これが最も重要な条文です。有事の際、自衛官を強制的に留め置く法的根拠となります。
台湾有事は、日本の「存立危機事態」あるいは「武力攻撃事態」と認定される可能性が高いです。
この認定を受け、総理大臣が自衛隊に「出動」を命じた場合(あるいは命じられそうになった場合)、自衛官の退職届は受理されなくなります。
つまり、「危ないから辞める」という選択肢は、法的に封鎖されます。
もし命令を無視して逃げたら?(罰則規定)
「退職できないと言われても、職場に行かなければいいじゃないか(バックレればいい)」と考える人もいるかもしれません。
しかし、平時の無断欠勤と異なり、防衛出動時の職場放棄は「犯罪」となり、重い刑罰が科せられます。
以下の条件に当てはまる者は、七年以下の懲役又は禁錮に処する。
- 正当な理由がなくて職務の場所を離れ、三日を過ぎた者
- 上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しなかった者
【解説】
平時の脱柵(脱走)であれば、懲戒免職などの行政処分で済むことが多いですが、有事の際は「7年以下の懲役」という刑事罰が待っています。
これは、敵前逃亡と同義とみなされるため、極めて重い責任が問われます。
予備自衛官なども対象になるか?
現役だけでなく、退職後に予備自衛官や即応予備自衛官になっている方も同様です。
招集命令に応じない場合も、同様に「3年以下の懲役又は禁錮(第123条)」という罰則があります。
まとめ:入隊時の「宣誓」の意味
自衛官が入隊する際、必ず行う「服務の宣誓」には、以下の一節があります。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえる」
台湾有事などの有事において「退職できない」というのは、この宣誓を法的に担保するための仕組みです。
結論:
防衛出動命令が出る前(緊張が高まっている段階)であれば、退職は法的に可能です(ただし、強力な慰留や手続きの引き伸ばしに遭う可能性は高いです)。
しかし、ひとたび「命令」が下れば、退職への道は閉ざされ、任務を放棄すれば犯罪者となります。
自衛官という職業は、それほどまでに重い責任と覚悟を背負っているのです。