2026年、衆議院解散総選挙。
今回の選挙は、戦後日本の政治史における最大の転換点となる可能性があります。
長年、自民党と連立を組んできた公明党が離脱し、立憲民主党と合流して「中道改革連合」を結成。野党第一党が巨大化し、政権交代が現実味を帯びる中で、最大の争点となっているのが「国防・安全保障」です。
台湾有事のリスク増大、北朝鮮の核ミサイル技術の高度化、そしてウクライナ・中東情勢の長期化。
激動する国際情勢の中、日本の舵取りを誰に任せるのか。各党の主張は「強硬」か「対話」か、それとも「抑制」か。自衛官の皆様、そして国防に関心を持つ国民の皆様に向けて、各党の防衛政策を徹底比較・解説します。
1. 選挙の基本構図と「国防」の立ち位置
2026年の選挙戦は、以下の3つの極による争いとなっています。
- 【与党・保守】自由民主党:「国防力の抜本的強化」を継続・完遂する立場。
- 【新勢力・中道】中道改革連合(立憲+公明):「平和外交と専守防衛の堅持」を掲げる抑制的な立場。
- 【野党・改革保守】日本維新の会・国民民主党など:「自民より踏み込んだ防衛力強化」を訴える積極的な立場。
特に注目すべきは、これまで「自民党のブレーキ役」を自任していた公明党が、立憲民主党と組んだことで、「防衛増税反対」と「安保法制の見直し」が一大争点として浮上している点です。
2. 各政党・会派の「国防政策」詳細分析
スローガン:「国を守る、未来を創る。揺るぎない防衛力を。」
公明党との連立解消により、自民党は独自の保守色を強めています。防衛三文書に基づく「防衛費GDP比2%」の早期達成と、反撃能力(敵基地攻撃能力)の実戦配備を急ぐ姿勢です。
【主な政策】
- 反撃能力の保持・強化:長射程ミサイル(トマホーク等)の配備完了と、国産スタンド・オフ・ミサイルの量産化。
- 防衛産業の強化:装備品の輸出規制緩和をさらに進め、国内防衛産業を育成し、継戦能力(弾薬備蓄等)を確保する。
- 憲法改正:自衛隊の明記(9条改正)を早期に実現し、自衛隊の法的地位を盤石にする。
- サイバー・宇宙・電磁波:「能動的サイバー防御」の法制化を断行し、有事の際のサイバー攻撃無力化を可能にする。
スローガン:「安心の平和、生活のための改革。」
立憲民主党の「リベラル」と公明党の「平和の党」が合流した新勢力です。両党に共通するのは「防衛増税への反対」と「軍事偏重への警戒感」。現実的な安全保障は維持しつつも、外交による緊張緩和を最優先します。
【主な政策】
- 専守防衛の厳格化:自民党が進める「反撃能力」の運用には厳格な歯止めをかけ、先制攻撃とみなされるリスクを排除する。
- 防衛増税の凍結:防衛費の増額自体は否定しないが、増税による財源確保は白紙撤回。行政改革や歳出削減で賄う範囲に留める。
- 「人間の安全保障」重視:軍事力だけでなく、ODA(政府開発援助)や国際貢献を通じた「平和外交」に予算を配分する。
- 核兵器禁止条約:オブザーバー参加を目指し、核廃絶へのイニシアチブを取る。
スローガン:「自分の国は自分で守る。タブーなき国防議論を。」
自民党以上に「自律的な防衛」を志向するグループです。アメリカ依存からの脱却も見据え、より踏み込んだ防衛体制の構築を訴えます。
【主な政策】
- 防衛費GDP比2%以上:NATO基準を最低ラインとし、必要な装備には上限を設けず投資する。
- 核共有(ニュークリア・シェアリング)の議論:米国の核兵器を日本国内に配備・共同運用する議論を開始する。
- 自衛官の待遇抜本改善:給与体系を根本から見直し、危険手当の大幅増額や、定年後の再就職保障を法制化する。
- スパイ防止法の制定:セキュリティ・クリアランス制度を強化し、技術流出や情報漏洩を厳罰化する。
スローガン:「戦争準備ではなく、平和構築を。」
中道改革連合には加わらず、独自の「非武装・中立」に近い立場を堅持します。
【主な政策】
- 安保法制の廃止:集団的自衛権の行使容認を撤回し、2015年以前の体制に戻す。
- 敵基地攻撃能力の保有撤回:軍拡競争を招くとして、長射程ミサイルの配備を中止させる。
- 対米従属からの脱却:日米地位協定の抜本改定、辺野古基地建設の中止。
3. 【徹底比較】国防の論点マトリクス
| 論点 | 自民党 | 中道改革連合 (立憲+公明) |
維新・国民 | 共産・れいわ |
|---|---|---|---|---|
| 防衛費 | GDP比2%達成 (増税も辞さず) |
現状維持〜微増 (増税反対・精査) |
2%以上 (行革・国債で賄う) |
大幅削減 (福祉へ回す) |
| 反撃能力 (敵基地攻撃) |
推進・強化 抑止力の要とする |
抑制的 必要最小限・要件厳格化 |
積極推進 指揮統制システムの統合 |
反対・撤回 専守防衛逸脱とする |
| 憲法9条 | 改正(自衛隊明記) | 現状維持 (加憲・論憲の立場) |
改正 (9条または緊急事態条項) |
護憲 (完全遵守) |
| 日米同盟 | 基軸・更なる深化 | 基軸だが対米追従見直し | 双務性の向上 (対等な関係へ) |
解消・平和友好条約へ |
| 自衛官待遇 | 改善(手当増額) | 改善(ハラスメント対策) | 抜本的給与改革 | 改善(長時間労働是正) |
①「中道改革連合」が政権を取った場合:
装備品の調達計画(特に米国製の高額装備)が見直される可能性があります。また、現場においては「交戦規定(ROE)」や「武器使用基準」が再び厳格化され、活動に制約がかかるリスクと、逆に外交努力により緊張が緩和する可能性の両面があります。
②「自民+維新・国民」が過半数を握った場合:
憲法改正が一気に現実化します。また、自衛官の給与増や定年延長、サイバー人材の民間登用などが加速するでしょう。一方で、現場の負担増やリスク(海外派遣の拡大など)も予想されます。
4. まとめ:2026年、日本の選択
2026年の総選挙は、単なる政権選択ではありません。「日本は自らの力で戦う国になるのか、それとも外交に命運を託す国であり続けるのか」という、国家としての生存戦略を選ぶ選挙です。
自民党が掲げる「力による抑止」か。
中道改革連合が掲げる「対話による安心」か。
維新・国民が掲げる「自立した国防」か。
現場で任務に就く自衛官の皆様にとって、政治の決定は「命」に直結します。
どの政党が、真に隊員のリスクを理解し、持続可能な国防体制を構築できるのか。イメージやスローガンだけでなく、具体的な政策と財源、そして「覚悟」を見極めて一票を投じる必要があります。