全ての投稿記事 時事ネタ・NEWS

【災害派遣要請】関東で相次ぐ林野火災

2026年1月、日本列島は記録的な乾燥状態に見舞われています。
雨が降らない日が続き、枯れ葉や下草は極限まで乾燥しています。この状態でひとたび火がつけば、瞬く間に山全体を飲み込む大惨事となります。

現に、各地で林野火災が多発しており、自治体の手には負えない規模へ拡大した現場には、自衛隊への災害派遣要請が出されています。
山林火災の恐ろしさは、一度燃え広がると「手のつけようがない」点にあります。だからこそ、私たち一人ひとりの「予防」と「正しい初期対応」が、日本の美しい山々と人命を守る鍵となります。

1. 山林火災の原因と「予防の鉄則」

日本の山林火災の原因の多くは、実は「自然発火」ではなく「人災」です。
林野庁の統計によると、原因の上位は「たき火」「火入れ(野焼き)」「たばこ」で占められています。つまり、人間の不注意さえ防げば、火災の多くは未然に防げるのです。

絶対にやってはいけない3つのNG行動
  1. 強風時のたき火・野焼き:
    乾燥注意報や強風注意報が出ている時は、絶対に火を使わないでください。火の粉は風に乗って数百メートル先へ飛び火します。
  2. タバコのポイ捨て:
    山道や車窓からのポイ捨ては論外です。「投げ捨てられた火種」は、乾燥した落ち葉の中ですぐには燃え上がらず、時間をかけて燻(くすぶ)り、人がいなくなった後に発火します。
  3. 残り火の放置:
    キャンプやBBQの後、「消えただろう」という憶測でその場を離れるのは厳禁です。完全に消火し、手で触れる温度になるまで確認が必要です。

山に入る時の「予防装備」

山林所有者や登山者が心がけるべき、具体的な予防策です。

  • 水を持参する:農作業やたき火をする際は、必ずバケツの水や消火器を「手の届く場所」に用意してから着火してください。
  • 枯れ草を除去する:火を使う場所の周囲にある枯れ草は、事前に完全に取り除いてください。
  • その場を離れない:火が燃えている間は、絶対にその場を離れてはいけません。

2. もし火が出てしまったら? 生死を分ける「初期消火」

万が一、目の前で火が出てしまった場合、あるいは火災を発見した場合の対処法です。
ここで最も重要なのは、「消火」よりも「通報」と「自身の安全」です。

① まず「119番通報」が最優先

「自分で消せるかも」と過信して消火活動に没頭し、通報が遅れるケースが後を絶ちません。
山林火災は1分1秒で状況が一変します。小さな火であっても、まず大声で周囲に知らせ、すぐに119番通報をしてください。
※山中で住所がわからない場合は、スマホのGPS機能や、近くの目標物(鉄塔番号など)を伝えます。

② 初期消火の限界ライン(これ以上なら即逃げろ)

初期消火が可能なのは、あくまで「火の高さが自分の身長より低く、延焼速度が遅い場合」に限られます。
以下の状況なら、消火を諦めて直ちに風上(かざかみ)へ逃げてください。

  • 火が自分の背丈を超えた。
  • 強風で火の勢いが強い。
  • 煙で周囲が見えない、または呼吸が苦しい。
  • 身の危険を感じた。

③ 有効な初期消火方法

まだ消せると判断した場合の手段です。

  • 水・消火器:最も確実です。火の根元(燃えている物体そのもの)を狙います。
  • 叩き消す:生木(緑の葉がついた枝)や濡れた布で、火の頭を叩き、空気を遮断します。
  • 土砂をかける:スコップがあれば、土や砂をかけて酸素を断ちます。

3. 最後の砦「自衛隊」の災害派遣

地上の消防隊が近づけない急峻な山岳地帯や、広範囲に広がった火災の場合、都道府県知事からの要請を受けて自衛隊が出動します。
陸上自衛隊のヘリコプター(CH-47など)による「空中消火」は、一度に数トンの水を散布できる、山林火災における最強の鎮圧手段です。

自衛隊の空中消火能力(CH-47JA)

大型輸送ヘリCH-47JAチヌークは、機体下部に「バンビバケット」と呼ばれる巨大なバケツを吊り下げて飛行します。
このバケットには約7.5トン(お風呂約30杯分)の水が入ります。近くのダムや湖で給水し、火点上空でピンポイントに散布します。この圧倒的な水量が、延焼を食い止める決定打となります。

過去の主な山林火災への派遣履歴

自衛隊はこれまで、数多くの山林火災で国民の命と財産を守ってきました。近年の大規模な事例を紹介します。

発生年月・場所 概要と自衛隊の活動
2021年(令和3年)2月
栃木県 足利市
【近年の最大規模】
ハイキングコース付近から出火し、強風により約106ヘクタールが焼失。鎮火まで23日間を要した。
自衛隊は陸自ヘリによる空中消火(散水回数330回以上、散水量約1,600トン)を実施し、地上部隊とも連携して延焼を阻止した。
2017年(平成29年)5月
岩手県 釜石市
尾崎半島で発生した大規模火災。約400ヘクタールが焼失。
陸上自衛隊第9師団等が派遣され、ヘリによる空中消火に加え、地上部隊による孤立集落の安全確認や給水支援も行われた。
2024年(令和6年)春
各地での多発事例
この年も乾燥により、関東・甲信越地方を中心に山林火災が多発。
群馬県や長野県などで、ヘリコプターによる空中消火要請が相次ぎ、即応体制をとる陸上自衛隊航空部隊が各地へ展開した。

地上部隊の活動も見逃せない

派手な空中消火に目が向きがちですが、地上部隊も重要な役割を果たします。

  • 情報収集:偵察用オートバイやドローンを使い、火災の進行方向や延焼範囲を特定し、消防へ情報提供を行う。
  • 給水支援:山間部で水が不足する場合、給水車を出して消防ポンプ車への送水を行う。
  • 後方支援:長期化する場合、消防隊員への食事や休憩場所の提供などを行う。

4. まとめ:美しい山を守るために

2026年1月現在、自衛隊のヘリコプターが空を飛ぶ音が聞こえる地域もあるかもしれません。
それは、彼らが命がけで消火活動を行っている証です。

自衛隊や消防の懸命な努力も、たった一本のタバコの不始末や、身勝手なたき火で無に帰してしまいます。
「火を扱っている」という責任感を持つこと。
「風が強い日は火を使わない」という勇気を持つこと。

これこそが、私たちができる最大の災害支援であり、自衛隊員や消防隊員の負担を減らすことにも繋がります。
乾燥した季節、どうか火の元には十分にご注意ください。

-全ての投稿記事, 時事ネタ・NEWS
-, , , ,