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2025年12月 中国レーダー照射問題 多角的視点から分析

中国機レーダー照射問題:3つの視点による情勢分析

火器管制レーダー(FCR)の照射は、軍事的には「ロックオン(攻撃寸前の照準合わせ)」を意味し、引き金を引く直前の極めて危険な行為です。
発生から1週間、なぜ事態は沈静化せず、むしろ言葉の応酬によって緊張が高まっているのでしょうか。

🔵 日本側の視点:【抗議と危機感】

日本側にとって、これは明確な敵対的行為であり、偶発的な事故とは捉え難いものです。

  • 主張:自衛隊機に対し、攻撃用の火器管制レーダーが照射された証拠(波形データ等)を確認している。「予測不能な事態を招きかねない極めて危険な行為」として強く抗議。
  • エスカレートの理由:中国側が事実を認めないため、証拠の開示(一部)や、より強い外交ルートでの抗議を検討せざるを得ない。現場の自衛官の安全確保と、国内世論への説明責任があるため、引くことができない。
  • 本音:中国軍の現場の独断なのか、党中央の指示なのかを見極めたい。これ以上、既成事実化(サラミ戦術)されることを防ぐ必要がある。

🔴 中国側の視点:【否定と逆批判】

中国側は一貫して事実を否定、あるいは日本側の行動に原因があると主張する「戦狼外交」的なスタイルを取っています。

  • 主張:通常の監視活動(捜索レーダーの使用)であり、火器管制レーダーは照射していない、と主張。あるいは「日本側の航空機が危険な接近・妨害を行ったため対応した」と責任を転嫁(カウンター)する。
  • エスカレートの理由:国内向けに「弱腰」を見せるわけにはいかない。日本が「中国脅威論」を煽るために、事実を歪曲して大げさに騒いでいるというナラティブ(物語)を展開し、自国の正当性をアピールする狙いがある。
  • 本音:日本の反応能力をテストしている(威力偵察)。また、東シナ海における活動範囲を広げ、自衛隊の活動を委縮させたい。

🟢 第三者・専門家の視点:【懸念と分析】

国際社会や軍事アナリストは、「偶発的衝突」のリスクが構造的に高まっていることを懸念しています。

  • 分析:日中間の「海空連絡メカニズム(ホットライン)」が機能不全に陥っている可能性がある。現場指揮官レベルでの緊張が高まっており、政治的なコントロールが効きにくくなっている恐れがある。
  • エスカレートの背景:これは単発の事故ではなく、「グレーゾーン事態」での主導権争いの一環。中国は「平時」と「有事」の間で圧力をかけ続けており、日本側がそれに慣れてしまう(常態化する)ことを国際社会は危惧している。
  • 今後:双方が証拠を出し合わない限り水掛け論になるが、軍事機密(レーダー解析能力)に関わるため、決定的な証拠公開は難しいというジレンマがある。

🟠 今後の焦点:偶発的衝突を回避できるか

現状、双方が一歩も引かない状態が続いています。
日本側は「明確な証拠に基づく抗議」を続けざるを得ませんが、中国側はこれを「政治的な言がかり」として無視または逆利用する構図です。
最も警戒すべきは、現場での挑発行為がエスカレートし、実際の物理的な接触事故や、誤射による衝突が発生することです。外交防衛当局間のホットラインが実効性を持つかどうかが、今後の焦点となります。

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