高等工科学校 【英語】

高等工科学校の英語は、「感覚」では解けません。

全国のトップ層が集まる高等工科学校の入試において、英語は最も差がつく科目の一つです。
試験問題のレベルは「難関公立高校の入試」に匹敵し、英検で言えば準2級レベルの内容も含まれます。

「なんとなく意味はわかる」では通用しません。
「なぜここに s がつくのか」「なぜ to ではなく ing なのか」
そういった文法的な根拠(ロジック)を100%説明できて初めて、合格点に届きます。

この記事では、難関を突破するために必要な「精密な英語力」の身につけ方を、中学生の皆さんにも分かりやすく徹底解説します。

第1部:合格の基準点!試験構造と難易度

まずは試験の特徴を把握しましょう。一般的な中卒自衛官試験(自衛官候補生)とは、次元が違う難しさです。

分野 難易度 特徴と対策
長文読解
(内容一致など)
やや難 配点のメイン。
文章量が多いため、速く正確に読む「速読力」が必須。内容は物語から説明文まで幅広い。
文法・語法
(空所補充)
「不定詞・動名詞の使い分け」「関係代名詞」「現在完了」など、中学3年間の文法事項がフル活用される。ひっかけ問題が多い。
会話文
(並べ替え等)
標準 日常会話の流れを読み取る問題。ここは比較的易しいので、全問正解して点数を稼ぎたい。
【警告】単語レベルが高い
教科書に出てくる基本単語だけでは足りない場合があります。
「environment(環境)」「opportunity(機会)」など、高校入試レベルの重要単語はすべて書けるようにしておく必要があります。

第2部:【文法】「何となく」を排除する

高工校の試験では、紛らわしい文法事項の「正確な理解」が問われます。特に以下の3点は頻出です。

1. 後置修飾(分詞)の罠

「〜している少年」「〜された本」など、名詞を後ろから説明する形です。

ing か ed か?
  • The boy running in the park is Ken.
    (公園を走っている少年=能動)
  • The book written by Soseki is famous.
    (漱石によって書かれた本=受動)

「少年は走る(能動)」「本は書かれる(受動)」の関係を見極めろ!

2. 関係代名詞の「格」

who / whose / whom / which の使い分けは完璧ですか?
空所の後ろを見て、「動詞があるなら主格(who/which)」、「主語+動詞があるなら目的格(whom/which)」と即断できるようにしましょう。

3. 不定詞と動名詞の使い分け

「〜することを忘れる」と言いたい時、forget to doforget doing かで意味が正反対になります。

  • forget to do:〜し忘れる(まだしていない)
  • forget doing:〜したことを忘れる(もうした)

第3部:【長文読解】時間を制する「スラッシュ・リーディング」

試験時間は短いです。英語を日本語の語順に直して読んでいては間に合いません。英語の語順のまま理解する「スラッシュ・リーディング」を習得しましょう。

英語の語順で理解する例

I went to the library / to study English / with my friend / yesterday.
(私は図書館へ行った / 英語を勉強するために / 友達と一緒に / 昨日)

このように、意味のカタマリごとに「/(スラッシュ)」を入れて読み下していきます。
返り読み(後ろから訳すこと)をしないだけで、読むスピードは2倍になります。

第4部:独学で合格するための「3ヶ月計画」

難関突破には、基礎からの積み上げが不可欠です。

  • 最初の1ヶ月:単語と文法の総点検
    高校入試用の単語帳(1800語レベル)を1冊仕上げます。同時に、中学3年間の文法を総復習し、「不定詞」「関係代名詞」などの苦手分野を潰します。
    目標:教科書の太字単語はすべて書けるようにする。
  • 次の1ヶ月:長文読解の特訓
    毎日1題、長文問題を解きます。最初は時間を気にせず、先ほどの「スラッシュ・リーディング」を使って正確に読む練習をします。分からない単語が出てきても、前後の文脈から推測する訓練も行います。
  • 最後の1ヶ月:過去問と時間配分
    高等工科学校の過去問を解きます。試験時間より「マイナス5分」でタイマーをセットし、プレッシャーの中で解く練習をします。見直しの時間を確保するためです。

第5部:【厳選】難関を突破する参考書リスト8選

「簡単な本」では受かりません。「高校入試の標準〜応用レベル」に対応した、骨のある参考書を選びました。

※優先順位の高い順に並べています。まずは上位2冊を揃えましょう。

タイプ・順位 書名・解説
【必須】1位 (過去問題集) 高等工科学校 採用試験 問題集 出版社:成美堂出版

【羅針盤】
まずは敵を知ることです。高等工科学校の問題は独特の傾向があります。特に長文のテーマや文法問題のレベルを肌で感じるために、必ず入手して繰り返し解いてください。

【推奨】2位 (網羅型参考書) リンクのテキスト中学 自由自在 英語 出版社:受験研究社

【信頼の辞書】
基礎から難関校レベルまで網羅された分厚い参考書です。分からない文法があったらすぐにこれで調べる癖をつけましょう。これ1冊で高校入試レベルは完璧です。

3位 (単語帳) 高校入試 でる順ターゲット 中学英単語1800 出版社:旺文社

【語彙力の強化】
高等工科学校を目指すなら、「基本」ではなく「標準〜応用」レベルの単語力が必要です。この本のランク3〜4(難関私立レベル)まで覚えておくと、長文がスラスラ読めるようになります。

4位 (ハイレベル) 最高水準問題集 英語 中学1~3年 出版社:文英堂

【応用力の養成】
「標準問題」では物足りない人向け。難関私立・国立高校の入試問題が多く収録されており、高工校の難易度に近い演習ができます。

5位 (長文対策) ハイパー英語教室 中学英語長文 2 (入試標準) 出版社:桐原書店

【速読の練習】
「スラッシュ・リーディング」を身につけるのに最適な本です。CD(音声)がついているので、耳から英語のリズムを入れることで、速読力が飛躍的に向上します。

6位 (熟語対策) 英熟語ターゲット1000 出版社:旺文社

【穴をなくす】
単語は覚えていても、熟語(look forward to等)を知らないと解けない問題が多いです。余力があればこの本で熟語を強化すると、文法問題で無双できます。

7位 (面接・口述) 自衛官採用試験 面接試験攻略法 出版社:並木書房

【英語面接はないが】
高等工科学校は2次試験(面接)も重要です。筆記試験の息抜きに、将来の夢や志望動機を整理するのに役立ちます。

8位 (直前対策) 高校入試 英語の総まとめ 出版社:受験研究社

【最終チェック】
試験直前に、文法の総復習をするのに適した薄い本です。カバンに入れておき、試験当日の休み時間に見直しましょう。

最後に:
高等工科学校の英語は、世界への扉を開くための鍵です。
単に試験に受かるためだけでなく、
将来、国際社会で活躍する自衛官になるための第一歩
として、誇りを持って勉強に取り組んでください。応援しています。

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