転勤(人事異動)について
自衛隊って北は北海道、南は沖縄、さらには硫黄島等の離島などに点在しており転勤(人事異動)が非常に多い、多そうなイメージがありますよね?
そのイメージは間違っていません。
ただ、皆が皆そういうわけではありません。
結論から言えば、多い少ないは人によります。
自衛隊は階級社会です。
士たる階級での転勤は、ほぼなし
入隊して間もない期間(階級が士)は、教育隊から配属された駐屯地、基地から転勤することは極めて稀です。
士である期間に転勤があるとすれば、
- 本人の強い希望
- 司令部等からのヘッドハンティング
- 専門性の高い部署への異動
- 長期間、昇任せず士でいる場合
ぐらいかなと思います。
初任地で自衛官として、どんどん成長していき3曹に昇任すると転勤が待っています。
曹たる階級での転勤は、平均3~9年前後と言われています。
曹に昇任すると(今は昇任前かも知れませんが)、曹になるにあたっての教育隊が待っています。3曹から2曹への昇任スピードの鍵を握っているのもこの課程になります。昇任スピードについては、また別の記事でお話します。
晴れて教育隊を終了し、立派な3曹になったのであればいよいよ転勤開始です。
陸海空や勤務地によって転勤までの期間が異なりますが、平均で6~9年前後に1回の転勤となります。
■参考(曹たる階級)
- 一般的な駐屯地・基地:6~9年
- 教育職・地本勤務:4~6年
- 離島や僻地:2~5年
- 単身赴任:3~5年
え?それだと、めっちゃ転勤多いじゃん!!って思うかもしれませんが、短い場合は1年とか2年とかもあります。ひと昔前は曹たる階級であればほとんど転勤することなく同一の駐屯地、基地で勤務できたようですが今は働き方改革などの様々な取り組みにより、変わりつつあるようです。
曹たる階級で勤務年数を重ねていくと、幹部自衛官への道が開けてきます。防衛大学や航空学生等で入隊した人は必ず幹部自衛官になります。
幹部自衛官の転勤は、2~4年前後
この幹部自衛官の転勤が「自衛隊は転勤が多い」ってイメージを根付かせていると思います。
幹部自衛官の転勤間隔は多少の差異はあれど2~4年です。曹たる階級の約2倍の早さです。
なんで、幹部自衛官はそんなに早く転勤しないといけないの?って思うと思いますが、それは職責に起因します。
幹部自衛官はその名の通り、組織の幹にあたる部分の要職に就くことが多いです。要職に就けば、装備品や食料、施設などの契約を結ぶ可能性が出てきます。こういうポジションに就くと人によっては利害関係者である業者と必要以上に関係を深めてしまう可能性があります。
また、幹部自衛官は曹以下の隊員に対する影響力が大きいというのもあります。人格、能力ともに超優秀な中堅幹部自衛官が居て、同一の駐屯地や基地で長く勤務したとします。人格も抜群にいいので同僚や後輩、部下隊員からも慕われます。
ここまでは全然いい話なんですが、部隊長が変な命令を下したり、部隊長が交代して新たな指揮官を迎えるときに問題が起きるのです。
中堅幹部なので部隊全体を指揮する権限はないのですが、組織は人です。部隊長が変な命令等を出せば反発する隊員も少なからずいるでしょう。こういった事態が発生した時に、階級構成を度外視して中堅幹部に多数の隊員がついていき組織が二分する可能性もあります。
これらのことを防ぐ狙いもあって、幹部自衛官は転勤が早いのです。
結論
最初にも言いましたが、人にそれぞれです(笑)。
■各階級の転勤頻度
- 士たる階級:ほぼ転勤なし
- 曹たる階級:約6~9年前後
- 幹部自衛官:約2~4年前後
もちろん、これはあくまでも目安です。早い人は1年未満で転勤する人もいます。
あと、自衛官の転勤が多いってイメージは、離島等があるからだと思います。上記はあくまでも一般的な隊員の目安で、職種によっては離島や僻地等での勤務があります。
こういった場所での勤務は、帯同している家族に負担をかける場合もあるので勤務している人は早く転勤したいと思います。この願いを叶えるべく、離島僻地とそれ以外の駐屯地や基地の回転率を上げているのが広義の意味での「働き方改革」だと思います。
■まとめ
- 転勤の早さ・多さは、階級や職種に起因します。
- ひと昔前のような同一勤務地で自衛官人生が完結することは皆無!
- 独身や単身なら僻地勤務でも余暇をリゾート気分で過ごせば苦ではなくなる?