物理法則を知らずして、空は飛べません。
航空学生の理科は、物理、化学、生物からの1分野を選択して回答します。。
将来パイロットになるために必須の教養として、特に「物理」が極めて重視されますので強く推奨します。
「なぜ飛行機は飛ぶのか(流体力学)」「なぜエンジンは回るのか(熱力学)」「レーダーはどう映るのか(波動・電磁気)」
これら全てが物理学です。
試験レベルは「大学入学共通テスト〜中堅私大レベル」。公式の丸暗記ではなく、「現象をイメージし、数式で表現する力」が問われます。
この記事では、物理を中心に、化学・生物も含めた「理科3科目」の効率的な攻略法を徹底解説します。
第1部:理科の配点と「絶対的な優先順位」
航空学生の試験において、科目の重みは均等ではありません。物理に全精力を注ぐ必要があります。
| 科目 | 優先度 | 攻略のポイント |
|---|---|---|
| 物理 (Physics) |
★★★★★★ | 最重要・必須。 力学、熱、波動、電磁気の全分野から出題。難易度も高く、計算力が必要。ここができないと航空学生は諦めた方がいいレベル。 |
| 化学 (Chemistry) |
★★★☆☆ | 基礎・標準。 理論化学(モル計算、酸塩基)が中心。物理ほどの難問は少ないので、基本問題を確実に拾う戦略でOK。 |
| 生物 (Biology) |
★★☆☆☆ | 暗記メイン。 人体の仕組み(恒常性)や細胞など。計算は少ない。物理・化学の息抜きとして、知識を詰め込む。 |
文系出身者であっても、航空学生を目指すなら「物理」は避けて通れません。
「物理基礎」だけでなく「物理(専門)」の範囲までしっかり学習する必要があります。
Part 1:【物理】空を制するための4大分野
物理は積み重ねです。以下の順序で攻略してください。
① 力学(Mechanics)
すべての基礎です。「運動方程式」と「エネルギー保存則」を使いこなせれば、飛行機の運動も理解できます。
質量(m) × 加速度(a) = 力(F)
※「力が釣り合っている時」と「加速している時」の式の立て方の違いをマスターしてください。
② 波動(Waves)
無線、レーダー、ドップラー効果。航空管制に必要な知識です。
速さ(v) = 振動数(f) × 波長(λ)
③ 熱力学・電磁気
- 熱力学:ジェットエンジンの原理(断熱膨張、熱効率)。ボイル・シャルルの法則は必須。
- 電磁気:計器や電子装備の基礎。オームの法則、コンデンサー、フレミングの法則。
Part 2:【化学】計算問題で差をつける
暗記だけでなく、計算問題(モル計算)を得点源にします。
- 物質量(mol)計算:全ての化学計算の基本。これだけは完璧にする。
- 酸と塩基:中和反応の計算(\(acV = bc'V'\))。
- 酸化還元:電池や電気分解の仕組み。
Part 3:【生物】パイロットの身体を知る
医学適性検査にも通じる「人体」の知識を中心に覚えます。
- 恒常性(ホメオスタシス):自律神経、ホルモンの働き。
- 血液と免疫:酸素の運搬(赤血球)、防御反応。
- 神経系:刺激の伝達速度、反射。
第4部:独学で合格するための「3ヶ月」フライトプラン
時間の8割を物理に割く覚悟でスケジュールを組みます。
- Phase 1:物理の「力学」完全制覇(1ヶ月目)
物理のエッセンス(後述)などを使い、力学を完璧にします。力学が分かれば、熱や電磁気も理解しやすくなります。化学は「モル計算」だけ毎日練習します。
目標:運動方程式を自分で立てて解けるようにする。 - Phase 2:物理全範囲&化学基礎(2ヶ月目)
物理の残りの分野(熱・波・電磁気)を進めます。化学は理論分野(計算)、生物は暗記分野を隙間時間に進めます。生物は深入りせず、用語暗記に徹します。 - Phase 3:過去問演習とスピードアップ(3ヶ月目)
航空学生の過去問、または共通テストの理科基礎・専門科目を解きます。物理は計算スピードが命です。迷わず式を立てられるまで反復練習します。
第5部:【厳選】理数系を制する参考書リスト8選
「物理」に関しては、大学受験生が使うバイブル的な参考書を使うのが最短ルートです。
※優先順位の高い順に並べています。まずは上位2冊を揃えましょう。
| タイプ・順位 | 書名・解説 |
|---|---|
| 【必須】1位 (物理バイブル) |
物理のエッセンス(力学・波動 / 熱・電磁気・原子)
【物理選択者の神器】 |
| 【推奨】2位 (過去問題集) |
航空学生 採用試験 問題集
【出題傾向の把握】 |
| 3位 (物理演習) |
良問の風 物理頻出・標準入試問題集
【実戦力強化】 |
| 4位 (化学基礎) |
宇宙一わかりやすい高校化学(理論化学)
【化学アレルギー用】 |
| 5位 (初学者物理) |
橋元の物理基礎をはじめからていねいに
【イメージで掴む】 |
| 6位 (生物・暗記) |
必修整理ノート 生物基礎
【書き込み式】 |
| 7位 (総合演習) |
共通テスト過去問研究 理科(物理/化学/生物)
【本番シミュレーション】 |
| 8位 (直前対策) |
高校入試ではなく「大学入試」のまとめ本
【注意点】 |
最後に:
物理の方程式は、パイロットにとっての「共通言語」です。
F=ma(運動方程式)の意味を肌で理解すること。
それが、過酷なG(重力加速度)の中で機体を自在に操るための第一歩です。
数式を恐れず、空の法則を味方につけてください。