STEP 1:最強の盾「共済貯金」をフル活用せよ
まず、声を大にして言います。
新隊員の皆さんが最初に行うべきは、株でもFXでも仮想通貨でもありません。
「元本保証(ノーリスク)」での貯蓄基盤を作ることです。
自衛隊には、一般企業が喉から手が出るほど羨ましがる最強の福利厚生システムがあります。
それが防衛省共済組合が運営する「共済貯金(きょうさいちょきん)」です。
なぜ「共済貯金」なのか?
大手メガバンクの普通預金金利が0.001%〜0.02%(税引前)と言われる時代に、共済貯金はそれを遥かに上回る利率を誇ります(※利率は年度により変動しますが、常に市中銀行より高水準です)。
そして何より重要なのが、「給与天引き」であるという点です。
人間は弱い生き物です。「給料が入って、残った分を貯金しよう」と考えている人は、一生お金が貯まりません。
給与が振り込まれる前に強制的に貯蓄へ回し、「無かったもの」として生活する。これが資産形成の鉄則です。
「定積(ていづみ)」と「定期(ていき)」の黄金サイクル
共済貯金には大きく分けて2つの種類があります。この使い分けが重要です。
- 定時積立貯金(定積):
毎月の給料から決まった額(例:3万円〜5万円)を自動的に積み立てるもの。まずはこれを設定します。 - 満期・まとまった額へ:
定積が貯まってある程度の金額(例:100万円単位)になったら、それを引き出し、より利率の良い「定期貯金」へ移し替えます。 - 複利効果:
定期貯金に入れたお金は、利息が利息を生む状態で放置します。
入隊直後は、手取りが少なく感じるかもしれません。
しかし、営内生活者は家賃も食費もかかりません。お小遣い以外の固定費がほぼゼロなのです。
「手取りの3割〜4割」を定積に回しても、十分に遊ぶお金は残ります。
まずは騙されたと思って、毎月の積立額を限界まで設定してください。1年後、通帳を見た時に貴方は驚愕し、そして自分を褒めることになります。
STEP 2:保険の罠!「Gレディ」に負けるな
駐屯地や基地には、昼休みや課業後にスーツを着た女性たちが現れます。
いわゆる「生保レディ(Gレディ)」と呼ばれる保険外交員の方々です。
彼女たちは非常に話上手で、優しく、時にはお菓子をくれたりします。
そして、入隊したての貴方にこう囁きます。
「社会人になったんだから、保険くらい入っておかないとダメよ」
「万が一のことがあったら、ご両親が困るでしょ?」
結論から言えば、独身の若手自衛官に、高額な死亡保障(数千万円クラス)がついた生命保険は「不要」です。
なぜ保険に入りすぎてはいけないのか?
理由1:養う家族がいない
生命保険の本来の目的は、「自分が死んだ後、路頭に迷う家族(配偶者や子供)にお金を残すこと」です。
独身の貴方が亡くなった時、経済的に困窮する人はいますか?
ご両親は貴方の収入で生活しているわけではないはずです。
「葬式代くらいは…」と思うかもしれませんが、それは次項の理由でカバーできます。
理由2:自衛隊の福利厚生が手厚すぎる
公務員、特に自衛官は、万が一の時の保障がすでに最強クラスです。
- 死亡退職金・賞じゅつ金:公務災害であれば数千万円単位、公務外でも相応の金額が出ます。
- 医療費:自衛隊病院や駐屯地の医務室を利用すれば、医療費はタダ(無料)です。入院しても食事代程度しかかかりません。
- 高額療養費制度:民間の病院にかかっても、自己負担額には上限があります。
「団体生命保険」との付き合い方
給与から天引きされる「防衛省団体生命保険(生協の保険)」は、民間の保険より割安で、還付金(配当)もあります。
しかし、これも「入ればいい」というものではありません。
よくある失敗は、何も考えずに「最大口数(フルガード)」で加入してしまうこと。
月々数千円〜1万円以上が引かれますが、独身者には過剰スペックです。
「医療保障」がついている最低限のプランにするか、あるいは「貯蓄型の保険」は全て解約し、その分をSTEP1の「共済貯金」に回した方が、長い目で見れば資産は増えます。
「保険は不幸にならないためのコスト。貯蓄ではない」
この言葉を胸に刻み、必要最小限(月額2,000円〜3,000円程度)に留めるのが賢い選択です。
STEP 3:300万円を超えたら「投資」の扉を開け
共済貯金で定積を続け、無駄な保険をカットしていれば、自衛官なら20代前半で貯金が300万円を超えることは難しくありません。
通帳の残高が「300万円」を超えた時。それが、次のステージへ進む合図です。
なぜ300万円なのか?
「生活防衛資金」という考え方です。
人生には何が起こるかわかりません。急な病気、実家のトラブル、あるいは結婚、車の購入。
こういった急な出費に対応できる現金(流動性資産)として、まずは300万円を確保します。
この「防壁」が完成して初めて、リスクを取って資産を増やす「投資」が可能になります。
① NISA(少額投資非課税制度)
最初に取り組むべきは、国が推奨する「新NISA」です。
これは、投資で得た利益にかかる税金(約20%)がゼロになるという、神のような制度です。
| やるべきこと | ネット証券(SBI証券や楽天証券など)で口座を開設する。 ※銀行窓口で開設してはいけません(手数料が高い商品を勧められます)。 |
|---|---|
| 買うべきもの | 「全世界株式(オール・カントリー)」や「S&P500(米国株)」に連動する低コストな投資信託。 |
| 買い方 | 毎月定額(例:3万円)を自動積立設定にする。 あとは20年間、何があっても放置する。 |
共済貯金の一部を、徐々にNISAの積立へとシフトさせていきます。
これにより、資産の一部が「世界経済の成長」に合わせて増えていくようになります。
② iDeCo(個人型確定拠出年金)
公務員にとってiDeCoは、強力な「節税メリット」があります。
iDeCoで積み立てた掛金は、「全額が所得控除」になります。
つまり、iDeCoをやっているだけで、毎年の「所得税」と「住民税」が安くなるのです。
- メリット:確実な節税効果。老後資金の確保。
- デメリット:原則として60歳まで引き出せない。
自衛官は定年が早い(50代半ば)ため、60歳まで資金がロックされるiDeCoは、退職後の空白期間を埋める「年金の上乗せ」として非常に相性が良いです。
ただし、資金拘束のリスクがあるため、NISAよりも優先度は少し下がります。
余裕資金が出てきたら、月額12,000円(公務員の上限)を目安に始めてみましょう。
まとめ:自衛官の資産形成ロードマップ
- 入隊直後(~資産100万円):
保険には入らず(最低限)、給与天引きの「定時積立(共済貯金)」で全力で現金を貯める。
目標:まずは100万円の壁を突破せよ! - 中盤(資産100万~300万円):
貯まった定積を「定期貯金」に移し、利息を稼ぐ。
無駄な支出(車、ギャンブル、飲み代)を抑え、生活防衛資金を完成させる。 - 後半(資産300万円~):
300万円を超えた分から、徐々に「新NISA」へ資金を振り向ける。
さらに余裕があれば「iDeCo」で節税を行う。
目標:現金と投資のハイブリッドで、退職時には資産3000万円超え!
自衛官という仕事は、決して楽ではありません。
しかし、その対価として得られる「安定」と「制度」を賢く利用すれば、誰でも経済的な自由を手に入れることができます。
銃の手入れを怠れば暴発するように、お金の管理を怠れば人生が破綻します。
今日学んだことを武器に、堅実で豊かな自衛官人生を歩んでください。