自衛官の初任給が非常に低いと各方面で取り上げられておりました。
その甲斐があってか令和5年に人事院勧告があり、自衛官の給与全体が上がりました。特に若い隊員ほど上昇率が高いので、給与改正後の自衛官の給与は悪くないと思います。
今回はいろいろなシミュレーションで給与や各種手当を紹介したいと思います。
各種手当について
誰しもが気になるお金について話していきたいと思います。
ベースとなる給料については号俸表(外部サイト)をご確認ください。
ここでは各種手当について話していこうと思います。
現役自衛官や入隊希望者で号俸表を確認した人はご存じかと思いますが、自衛官の基本的な給料は低くはないですが、高くもありません。
それでも自衛官が魅力的なのはなぜか?
まず、公務員(国家公務員)というのが第一だと思います。公務員は一般的な企業と違って雇用主は日本国となりますので、日本国が主権を維持している限り雇用は各種ルール(定年等)の中で継続されます。
ただ、今回話していくのは手当の話です。
そう、各種手当が非常に充実しているのです。
■手当の種類(代表的なもの)
- 地域手当
- 広域異動手当
- 住居手当
- 通勤手当
- 夜勤手当
- 扶養手当
- 単身赴任手当などなど
上記は一般的な職種の隊員でも比較的容易に受給できる手当を記述しております。
この他にも航空手当や各種危険手当など様々な手当がありますが、航空手当は全自衛官の中でも数%の人しか受給できません。他にも特殊な技能や職種、作業でのみしか受給できない手当は多数ありますがここでは割愛します。
一般的な隊員の例でシミュレートしてみましょう。
陸海空の隊員が勤務している那覇と市ヶ谷で比較してみます。
■高卒3年目(20歳):営内者(那覇)
・基本給:212,100円(士長 4号俸)
・支給合計:212,100円
通常、高卒3年目の士長は毎月21万程度の給料を受給します。
ただ、この士長が市ヶ谷駐屯地で勤務した場合は、
■高卒3年目(20歳):営内者(市ヶ谷)
・基本給:212,100円(士長 4号俸)
・地域手当:212,100×0.2=42,420円
・支給合計:254,520円
高卒3年目で約25万円ですよ。
手当ってすごいですよね。
市ヶ谷駐屯地は地域手当が20%もつくんですが、これは誰が決めるのでしょうか?
防衛大臣?統合幕僚長?
いいえ、人事院が決めます。
一般的な国家公務員の手当は人事院が作成したこちらの資料(外部サイト)をご確認ください。
次に妻帯者で子供もいる家庭を見てみましょう。
■高卒17目(35歳):2曹(那覇)
妻、子供1人
・基本給:300,000(2曹 45号俸)
・扶養手当:妻6,500円 子供10,000円
・営外手当:6,000円
・住居手当:28,000円
・通勤手当:4,000円
・支給合計:354,500円
地域手当が出ない場所で勤務していた場合でも、
基本給約30万円に加え、総額5万円を超える手当があり額面では約35万円になります。
ここで、この隊員が那覇駐屯地付近に自宅を構え、市ヶ谷(営内)に単身赴任した場合はどうなるでしょう。
■高卒17目(35歳):2曹(市ヶ谷)
※単身赴任 妻、子供1人
・基本給:300,000(2曹 45号俸)
・扶養手当:妻 6,500円 子供 10,000円
・地域手当:(300,000+6,500+10,000) × 0.2=63,300円
・単身赴任手当:88,000円
・支給合計:467,800円
※地域手当は扶養手当にも上乗せされます。
手当の数は減ってしまいましたが、総額は....
なんと、驚愕の45万円越えです。
高卒、35歳でこれだけもらえる企業はそうそうないと思います。
この他にも夜勤を伴う職種であれば夜勤手当がつきますし、職種次第ではまだまだ増えます。
また、幹部自衛官になれば基本給が上がるのでさらにもらえます。
結論
職種や勤務地によって左右されるものの基本給の他に多額の手当が支給されるので自衛官の給料は全然悪くない。
むしろ、高い分類に入るのでは?
もし、勤務地等によって左右されたくない場合は航空手当がもらえる職種にいくのが一番。パイロットになれるのであれば言うことはないですが、パイロットになれなくても搭乗員になることで航空手当が貰える職種はあります。
■まとめ
- 基本給はそこそこだけど、手当が多数あり、総額ではいい金額に!
- 高給取りに確実になるには航空手当が貰える職種に!
- 幹部自衛官になれば転勤は増えるも、給料は上がる!