台湾有事に備える
「命を守る」具体的行動マニュアル
~今日からできる、あなたと家族を守るための備え~
台湾有事が現実味を帯びる中、地理的に最も近い沖縄にお住まいの皆様が不安を感じるのは当然のことです。
しかし、不安に立ち尽くすだけでは命は守れません。有事は「突然始まる」ものではなく、段階を経て進行します。
台風対策に長けた沖縄の皆様だからこそできる、「物流が止まる」「電気が消える」ことを想定した、現実的かつ詳細な備えをまとめました。何も起きないことが一番です。しかしながら、備えなければ生命の危機に繋がる事態が起こり得ると考えています。恐怖を煽るような記事を本当は書きたくありませんが注意喚起という側面から書きたいと思います。
▼ 1. 物流途絶に備える「拡張版・台風対策」
有事の際、民間船舶や航空機は真っ先に止まります。島嶼県である沖縄は、他県以上に「孤立」のリスクが高いです。最低でも「2週間~1ヶ月」自力で生き延びる備蓄が必要です。
- 水(最優先):海水を淡水化する浄水場は停電で止まる可能性があります。ペットボトルだけでなく、お風呂の水張り、雨水タンクの活用など、生活用水の確保を。
- 現金(小銭と千円札):停電や通信遮断でキャッシュレス決済、ATMは使えなくなります。手元に少なくとも1ヶ月分の生活費を「現金」で置いてください。
- 常備薬・お薬手帳:病院へ行けなくなる、薬が入ってこなくなる事態を想定し、持病の薬は多めに確保してください。
- カセットコンロとボンベ:ガス供給が止まった時の命綱です。台風対策の備蓄をさらに倍増させてください。
▼ 2. 「島外避難」か「屋内退避」か
「有事になったら県外へ逃げる」と考える方も多いですが、実際に戦闘が始まってからでは、民間機は飛びません。以下のシビアな判断が求められます。
【平時のうちに判断すること】
政府が「国民保護計画」を発動し、避難勧告が出た段階(まだ戦闘が始まっていないグレーゾーンの時期)で、子供や高齢者だけでも早めに県外の親戚宅へ移動させるか、家族会議をしておいてください。
【戦闘が始まってしまったら】
空港や港は攻撃対象になりやすいため、近づくのは危険です。無理に移動せず、「自宅の最も安全な場所」に留まる覚悟が必要です。
▼ 3. 攻撃が始まった時の行動(Jアラート)
ミサイル攻撃や空襲の警報が鳴った際、沖縄特有の住宅事情を考慮した行動が必要です。
- 窓から離れる(最重要):沖縄の鉄筋コンクリート(RC)住宅は頑丈ですが、爆風で「窓ガラス」が凶器になります。窓のない部屋、トイレ、風呂場、または廊下へ逃げてください。
- 地下への避難:沖縄はサンゴ石灰岩質の地盤が多く、地下施設が少ないです。公共施設のコンクリート建物や、のり面(崖)の反対側など、頑丈な影に身を隠してください。
- カーテンを閉める・飛散防止フィルム:今のうちに窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ってください。これは台風対策と兼用でき、爆風対策として非常に有効です。
▼ 4. 通信途絶時の「耳」を確保する
有事にはサイバー攻撃や海底ケーブルの切断により、スマホやインターネットが長時間使えなくなる可能性が高いです。デマやフェイクニュースも飛び交います。
- 電池式ラジオ:最も信頼できる情報源になります。地元局(ROK、RBC、FM沖縄など)の周波数をメモし、予備の乾電池を多めに用意してください。
- 家族とのアナログな連絡手段:「連絡がつかない時は〇〇集合」「伝言板はここの避難所を使う」など、スマホを使わない連絡ルールを今のうちに決めてください。
▼ 5. 子供・高齢者を守る連携
自衛隊や消防・警察も対処に追われ、すぐに助けに来られない可能性があります。頼りになるのは「ゆいまーる(助け合い)」です。
- 学校・保育園との確認:「緊急時に親が迎えに行けない場合、誰に引き渡すか」「園はどこに避難させるか」を事前に確認してください。
- 近隣への声かけ:隣に住む高齢者や、手助けが必要な方の存在を把握しておいてください。有事の混乱時、声をかけ合うだけで生存率は上がります。
▼ 最後に:正しく恐れ、淡々と備える
この記事は恐怖を煽るものではありません。しかし、「沖縄は最前線になり得る」という地理的事実は変えられません。
日々の生活を大切にしながらも、頭の片隅に「もしも」のシミュレーションを置いておくこと。そして、台風対策の延長として、水や食料、ラジオを少し多めに備えること。
その小さな積み重ねが、いざという時にあなたと、あなたの大切な人の命を繋ぐ「命綱」になります。どうか、今日からできることを始めてください。