英語は「言葉」ではありません。「暗号」です。
一般曹候補生の試験において、多くの受験生が最も恐れる科目が「英語」です。「単語が覚えられない」「長文が読めない」…その悩み、今日で終わりにしましょう。
はっきり言います。自衛隊の英語試験に、ネイティブのような読解力は不要です。
必要なのは、「出題パターンという暗号を解くための、いくつかの鍵(ルール)」だけ。
この記事では、英語偏差値30台からでも合格点を叩き出せる「ズルい解法」と、そのために必要な「最低限の知識」を、参考書1冊分レベルの密度で徹底解説します。
第1部:敵を知る!試験の構造と「捨て問」の極意
まずは、試験全体を俯瞰(ふかん)しましょう。一般曹候補生の英語は、中学〜高校1年生レベル(英検3級〜準2級相当)で構成されています。
| 分野 | 配点比率 | 特徴と対策 |
|---|---|---|
| 単語・熟語 (空欄補充) |
約30% | 最重要。 短い文の空所に適語を入れる問題。特に「熟語(イディオム)」が頻出。ここを落とすと合格はない。 |
| 文法・語法 (並べ替え等) |
約30% | 「不定詞」「受動態」「比較」など、決まったルールを知っているか問われる。パズル感覚で解ける。 |
| 会話文 (流れを読む) |
約20% | AさんとBさんの会話。前後の文脈から空欄を埋める。「決まり文句」を覚えれば瞬殺できるボーナスステージ。 |
| 長文読解 (内容一致) |
約20% | 最後に出る長めの文章。時間がなければ「捨てる」のも戦略。ただし、内容は平易なので、単語さえわかれば解ける。 |
長文読解に時間をかけすぎて、前半の知識問題を落とすのが一番の失敗パターンです。
「単語・熟語」と「会話文」で満点を取り、長文は余った時間で解く。これが合格への最短ルートです。
第2部:【文法編】これだけは出る!鉄板ルール4選
分厚い文法書を最初から読む必要はありません。自衛隊の試験が大好きな「4つの急所」だけを解説します。
1. 「不定詞」vs「動名詞」の仁義なき戦い
「〜すること」と言いたい時、to do(不定詞)を使うか、doing(動名詞)を使うか。これは動詞によって決まっています。
- enjoy doing(楽しむ):enjoy to do は不可!
- finish doing(終える):finish to do は不可!
- stop doing(〜するのをやめる)
- want to do(〜したい)
- hope to do(〜したいと望む)
- decide to do(〜すると決める)
覚え方:
過去っぽい・中止系は doing (finish, stop)
未来っぽい・希望系は to do (want, hope, decide)
2. 「比較」の構文はカタチで反応せよ
意味を考える前に、形を見ます。空欄の後に than があるか、as があるか。それだけです。
- 文中に as がある → 前にも as を入れる。
例:He is as tall as Ken.(彼はケンと同じくらいの背だ) - 文中に than がある → 前は er か more。
例:This is older than that.(これはあれより古い) - 文中に of all や in Japan がある → the 〜 est(最上級)。
例:He is the tallest student in his class.
3. 「受動態」は be + p.p.(過去分詞)
「〜される」という受け身の文。主語が「人」ではなく「物(手紙、ビル、英語など)」の場合、99%受動態になります。
公式:主語 + be動詞 + 過去分詞 + by 〜
- The book was written by Soseki.(その本は漱石によって書かれた)
- English is spoken in America.(英語はアメリカで話されている)
4. 「関係代名詞」は先行詞(前の言葉)を見ろ
2つの文をつなぐ接着剤です。空欄の「直前の単語」が何かだけで決まります。
| 前の単語(先行詞) | 使う関係代名詞 | 例文 |
|---|---|---|
| 人 (boy, girl, friend) |
who | I have a friend who lives in Tokyo. |
| 物・動物 (book, dog, car) |
which | This is a pen which I bought. |
| 人・物どちらでも | that | 困ったら that を探せ! |
第3部:【熟語・単語】試験に出る「自衛隊セット」
単語を1から覚えるのは大変ですが、「熟語(イディオム)」は数が少なく、配点が高いです。以下の10個は、寝言で言えるくらい暗記してください。
- look forward to 〜ing:〜を楽しみに待つ(※to の後ろが ing になる超頻出ひっかけ!)
- take care of 〜:〜の世話をする
- give up 〜ing:〜をあきらめる
- look for 〜:〜を探す
- get up:起きる
- belong to 〜:〜に所属している
- be good at 〜ing:〜が得意だ
- interested in 〜:〜に興味がある
- depend on 〜:〜に頼る、〜次第だ
- put on:着る(脱ぐは take off)
第4部:【会話文】A-B-A-Bのリズムを制する
会話文問題は、文法がわからなくても「会話の流れ」で解けます。以下の「お決まりパターン」を知っておきましょう。
① 勧誘・提案のパターン
- A: Why don't we go to the movies?(映画に行かない?)
- B: That sounds good.(いいね!)
※断る場合は I'd love to, but I can't.(行きたいけど無理なんだ)
② 道案内のパターン
- A: Excuse me. How can I get to the station?(駅へはどう行けば?)
- B: Go straight and turn left.(まっすぐ行って左です)
③ 電話のパターン
- A: May I speak to Tom?(トムをお願いします)
- B: Speaking.(私です/今話しています)
※「He is out now.(彼は外出中です)」や「Hold on, please.(そのままお待ちください)」も頻出。
第5部:独学で合格するための「3ヶ月計画」
英語は毎日触れないと忘れます。1日30分でいいので継続しましょう。
- 最初の1ヶ月:単語と熟語のインプット
後ほど紹介する単語帳を使い、まずは「1つの単語につき1つの意味」だけ覚えます。スペル(綴り)は書けなくてもいいです。「見て意味がわかる」レベルを目指してください。
コツ:音声を聞きながら、声に出して読むこと。耳と口を使うと記憶の定着が2倍になります。 - 次の1ヶ月:文法ルールの確認
上記で解説した「不定詞」「動名詞」「比較」などの基本ルールを、問題集を使って確認します。理屈を理解したら、似た問題を何度も解いて「パターン」を体に叩き込みます。 - 最後の1ヶ月:過去問演習
時間を計って過去問を解きます。会話文や長文で知らない単語が出てきても、辞書を引かずに「文脈から推測する」訓練をします。復習の際は、解説を熟読し、なぜその答えになるのかを他人に説明できるようにします。
第6部:【厳選】英語を武器に変える参考書リスト8選
英語の参考書は世の中に溢れていますが、難しすぎるものを選ぶと挫折します。「自衛隊試験レベル(中〜高1)」に特化した、本当に使える8冊を厳選しました。
※優先順位の高い順に並べています。まずは上位2冊を揃えましょう。
| タイプ・順位 | 書名・解説 |
|---|---|
| 【必須】1位 (過去問題集) |
採用試験 問題集
【まずは敵を知る】 |
| 【推奨】2位 (単語帳) |
英単語ターゲット1200
【レベル感が完璧】 |
| 3位 (文法ドリル) |
大岩のいちばんはじめの英文法【超基礎文法編】
【英語アレルギーの特効薬】 |
| 4位 (学び直し) |
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく。
【be動詞からやり直したい人へ】 |
| 5位 (熟語対策) |
英熟語ターゲット1000
【得点源を強化する】 |
| 6位 (問題演習) |
英文法レベル別問題集 1 超基礎編
【薄いのに効果絶大】 |
| 7位 (総合テキスト) |
自衛官採用試験 完全ガイド
【教科書として持っておく】 |
| 8位 (直前対策) |
7日間完成! 自衛官採用試験
【最後の悪あがき】 |
最後に:
英語は、やればやるだけ必ず伸びる「努力の教科」です。
今日覚えた "look forward to 〜ing" が、本番で出るかもしれません。
その1点が、あなたの運命を変えます。
諦めずに、単語帳をめくり続けましょう。