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【遺族向け】自衛官が病死したときの公的給付金

自衛官が病死された場合の公的遺族給付
~配偶者・お子様が受け取る権利とお金について~

自衛官が在職中に病気により亡くなられた場合、国および防衛省共済組合などの公的機関から、ご遺族の生活を支えるために複数の給付金が支給されます。ここでは、民間の保険を除いた「公的なお金」に絞って解説します。

【重要なお断り】
本解説は一般的な「病死(私病死)」を想定していますが、もしその病気が「公務に起因するもの(過労死や任務に関連する疾病)」と認定された場合は、金額や種類が大きく異なります(「4. 公務災害の可能性」で後述)。

1. 死亡退職手当(退職金)

いわゆる「退職金」です。在職中に死亡した場合、退職手当はご遺族(配偶者やお子様など)に支払われます。

支給額の目安

計算式: 退職時の俸給月額 × 支給率 + 調整額

  • 支給率の優遇: 在職中の死亡(病死)は、「自己都合退職」よりも高い支給率(整理退職や定年退職に近い率)が適用されることが一般的です。
  • 勤続年数: 勤続年数が長いほど高額になります。
  • 階級: 亡くなられた時点の階級(または特別昇任後の階級)の俸給が基準となります。

※ご本人が受け取るはずだった金額が、現金一括で遺族に支払われます。

2. 遺族年金(毎月の給付)

残されたご家族の生活費として、偶数月に支払われる公的年金です。自衛官は公務員ですので、「厚生年金」の加入者となります。

① 遺族基礎年金(国民年金部分)

対象者 「子のある配偶者」または「子」
※子が18歳到達年度の末日(障害がある場合は20歳)までであること。
支給額 年額 約79万5,000円 + 子の加算額
・第1子・第2子:各 約22万8,700円
・第3子以降:各 約7万6,200円

② 遺族厚生年金(厚生年金部分)

対象者 配偶者、子、父母、孫、祖父母(優先順位あり)
支給額 本人の報酬比例部分の3/4相当額
※亡くなられた方の在職中の給与や賞与の平均額と、加入期間に基づいて計算されます。
※長期要件(加入期間25年以上など)や短期要件(在職中の死亡)により計算が異なりますが、在職中の病死は通常「短期要件」となり、加入月数が300月(25年)未満でも300月加入していたとみなして計算されるため、手厚くなっています。
中高齢寡婦加算 妻が40歳以上65歳未満の場合、要件を満たせば年間約59万円が加算されます。

3. 防衛省共済組合からの給付

自衛官が加入している「防衛省共済組合」から、一時金として以下の給付が行われます。これらは手続き後、比較的早期に支払われます。

  • 埋葬料(埋葬祭祀料):
    葬儀を行うご遺族に対し、一律で5万円(+付加給付として2~3万円程度加算される場合あり)が支給されます。
  • 弔慰金(組合からの):
    共済組合独自の見舞金として数万円~10万円程度が支給される場合があります(組合の規定による)。

4. 【重要】公務災害(公務上の病気)の可能性

もし、亡くなられた病気の原因が「過酷な任務」「長時間の超過勤務(残業)」「特殊な環境下での活動」など、公務(仕事)にあると認定された場合は、「公務災害」扱いとなります。

この場合、上記に加えて(あるいは代わって)以下の非常に高額な補償が適用されます。

公務災害認定された場合の追加給付

  • 賞恤金(しょうじゅつきん):
    警察官や自衛官などが危険な職務や公務により死亡した場合に国から支払われる特別な弔慰金。公務上の病死や過労死の場合、数百万~数千万円単位になる可能性があります。
  • 公務員災害補償(遺族補償年金):
    遺族厚生年金とは別に、平均給与の一定割合が年金として支給されます。

※単なる風邪や私生活に起因する病気では適用されませんが、「過労死ラインを超える勤務実態があった」などの場合は、部隊や地方協力本部へ相談し、公務災害申請を検討する必要があります。

5. その他(手続き上の注意点)

これらの公的給付以外に、以下の点も確認が必要です。

  • 団体生命保険(防生協など):
    給与天引きで加入している生命保険です。これは「個人の保険」と認識されがちですが、防衛省職員の多くが加入している準公的な制度です。死亡保険金は高額になるケースが多いため、必ず証書や加入状況を確認してください。
  • 未支給給与・賞与:
    亡くなられた日までの給与や、支給基準日を過ぎていればボーナスも遺族に支払われます。

支給モデルケース

【試算表】自衛官の病死時 公的給付金
~まとまって入るお金・毎月入るお金~

▼ 試算に使用したモデルケース ▼ 35歳 ・ 2等陸曹 ・ 勤続17年
家族構成:妻(専業主婦)・子1人(5歳)
※公務外の病死と仮定

1. 一時金(まとまって支払われるお金)

死亡退職に伴い、国や共済組合から一度だけ支払われるお金です。

項目 内容・計算根拠 概算支給額
死亡退職手当
(退職金)
自己都合退職よりも支給率が高く設定されます。
想定:俸給約30万円×支給率+調整額
約 1,000万円
埋葬料
(共済組合)
葬儀を行うための給付。
一律5万円+付加給付(2.5万円程度)
約 7.5万円
弔慰金
(共済組合等)
組合からの見舞金。
※自治体や部隊独自の互助会があれば別途加算
5~10万円
一時金 合計目安 約 1,015万円

2. 遺族年金(毎年支払われるお金)

残されたご家族の生活を支えるため、偶数月に分割して支払われます。
※子供が18歳になる年度末まで「子の加算」がつきます。

項目 内容・計算根拠 年額(月額換算)
遺族基礎年金
(国民年金)
基本額:約79.5万円
子の加算(1人目):約22.8万円
約 102万円
(月 約8.5万円)
遺族厚生年金
(厚生年金)
在職中の給与額に基づき算出。
※勤続25年未満でも25年加入とみなして計算するため、若年層でも一定額が保証されます。
約 60~80万円
(月 約5~6万円)
年金 合計目安 年 約 170万円
(月 約 14万円)

※妻が40歳~65歳の間は、子供が手を離れた後などに「中高齢寡婦加算(年約59万円)」が追加される場合があります。

3. 勤続年数・階級による退職金の違い

上記は「35歳・2曹」の例ですが、死亡退職手当(退職金)は勤続年数と階級によって最も大きく金額が変動します。

ケース例 退職金目安 備考
若手隊員
(20代・士長~3曹)
200万 ~ 450万円 勤続年数が短いため、退職金は少額になります。年金の手厚さが重要になります。
中堅幹部・曹
(30代後半・2曹~1尉)
1,000万 ~ 1,500万円 上記モデルケースの層です。
定年間近
(50代・曹長~2佐)
2,000万 ~ 2,500万円 ほぼ定年退職金と同水準の金額が支給されます。

まとめ:受取総額のイメージ

35歳モデルケースの場合

  • ① まとまったお金(一時金):
    約 1,000万円
  • ② 毎月の生活費(年金):
    月 約 14万円
    (子供が18歳になるまで)

【注意】
ここには「団体生命保険(防生協など)」は含まれていません。
多くの自衛官は給与天引きで保険に加入しており、加入口数によりますが、上記に加えて+1,000万~3,000万円程度の保険金が下りるケースが一般的です。

※本試算は2025年時点の制度・給与水準に基づく概算であり、実際の支給額を保証するものではありません。詳細な金額は、共済組合支部の担当者による計算が必要です。

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