高等工科学校 1次試験
直前「5教科」最終チェック
試験直前に「新しいこと」を覚える必要はありません。重要なのは「取れる問題を確実に落とさないこと」と「ミスの撲滅」です。各教科、今からでも点数を底上げできるポイントを厳選しました。
【数学】計算力と「捨てる勇気」
高工校の数学は、スピード勝負です。難問に時間を使いすぎて、解けるはずの基本問題を落とすのが一番の失敗パターンです。まずは「計算問題」を全問正解することを最優先してください。
1. 計算・小問集合(絶対に満点を取る)
最初の計算問題や小問集合は、配点が大きく、最も対策効果が高い部分です。以下のミスを徹底的に防ぎましょう。
- 符号ミス:マイナス×マイナスはプラス。移項した時の符号変化。これだけで±5点は変わります。
- 因数分解と展開:乗法公式 $(x+a)(x-b)$ や $(a+b)^2$ は、一瞬で反応できるように。たすき掛けの確認も忘れずに。
- 平方根(ルート):$\sqrt{12}$ を $2\sqrt{3}$ に直すような変形は息をするようにできるように。有理化も必須です。
2. 関数($y=ax^2$)
2次関数は頻出です。以下の3パターンを再確認してください。
- 変化の割合:$y=ax^2$ で $x$ が $p$ から $q$ まで変化する時の変化の割合は $a(p+q)$ で一発で出せます。この公式を知っているだけで数分の短縮になります。
- 変域:$x$ の変域に「0」が含まれる場合、$y$ の最小値(または最大値)は必ず「0」になります。端の数字だけ代入して安心しないこと。
- 交点座標:直線と放物線の交点は、式を連立させて(=で結んで)解くだけです。
3. 図形(相似と三平方)
図形は見え方によってドツボにはまります。「1分考えて解法が浮かばないなら後回し」にする勇気を持ってください。
- 三平方の定理:$1:1:\sqrt{2}$(45度の直角三角形)、$1:2:\sqrt{3}$(30度・60度の直角三角形)、$3:4:5$ の比率は必ず出ます。図形の中にこれらを見つけるゲームです。
- 円周角の定理:直径に対する円周角は90度。同じ弧に対する円周角は等しい。補助線を引くなら「中心」か「直径」絡みです。
「検算」は最後にまとめてやるな!
1行書くごとに目で追って確認せよ。
【英語】単語の見直しと「時間配分」
英語は長文読解のウェイトが高いですが、文法問題で時間を稼ぐのが鉄則です。難しい単語が出ても焦らず、文脈から推測する姿勢を持ちましょう。
1. 語彙・文法(即答できるように)
迷っている時間はありません。以下の文法事項を最終チェックしてください。
- 時制の一致:文全体が過去の話なら、動詞も過去形・過去完了形にする。特に不規則動詞の変化(go-went-goneなど)は要確認。
- 受動態(be動詞+過去分詞):「~される」という訳。主語が「人」か「物」かで見極めます。
- 関係代名詞:who, which, that の使い分け。直前の単語(先行詞)が人ならwho、物ならwhich。
- 不定詞・動名詞:to不定詞(これからのこと)と、ing(すでにしていること)のニュアンスの違い。
2. 長文読解(先に設問を見る)
いきなり英文を読み始めてはいけません。必ず「設問」を先に読んでください。
- 何を聞かれているか把握する:「理由」を聞かれているのか、「内容一致」なのか。キーワード(数字、固有名詞、年号)を頭に入れてから本文を探すと、答えの場所が光って見えます。
- 段落ごとに整理:長い文章は、1つの段落に1つの言いたいことがあります。段落の最初と最後の一文だけ読めば、大意がつかめることが多いです。
3. 英作文・並べ替え
日本語の語順に惑わされないでください。英語は常に「誰が(主語)→どうする(動詞)→何を(目的語)」の順番です。
- 主語と動詞を最初に見つける。
- 修飾語(いつ、どこで、どのように)は文の最後か、強調したいなら最初へ。
分からない単語は「プラスの意味」か
「マイナスの意味」かだけ推測して飛ばせ!
【国語】漢字の死守と「客観的読解」
国語は勉強しにくいと思われがちですが、直前でも点数が伸びるのは「漢字・語句」と「古典」です。現代文はテクニックで解きます。
1. 漢字・語句(確実に拾う)
ここはサービス問題です。絶対に落とせません。
- 書き取り:トメ・ハネ・ハライを丁寧に。あやふやな字は減点対象です。
- 四字熟語・ことわざ:有名なものは意味を確認。「五里霧中」「自画自賛」など、教科書レベルのものは一度目を通しておきましょう。
2. 論説文・説明文(答えは本文にある)
自分の意見や常識で解いてはいけません。答えは必ず「本文の中」に書いてあります。
- 接続詞に注目:
「しかし・だが」(逆接)の後ろに、筆者の本当に言いたい主張が来ます。
「つまり・要するに」(要約)の後ろは、答えの宝庫です。
「例えば」(具体例)は、読み飛ばしても大意には影響しません。 - 指示語の内容:「これ」「それ」が何を指しているか。基本的には直前の文に答えがあります。指している内容を代入して意味が通じるか確認しましょう。
3. 古文(主語を補う)
古文が難しく感じるのは「主語が省略されているから」です。
- 動作主を想像する:「誰が言ったのか」「誰がしたのか」を常にメモしながら読むと、ストーリーが見えてきます。
- 注釈を見る:本文の下にある「注釈」は最大のヒントです。ここを先に読むだけで、話の筋が分かることがあります。
選択肢は「消去法」で!
本文に書いていない「言い過ぎ」な選択肢は×。
【理科】暗記分野の総復習と公式確認
計算が必要な「物理・化学」と、暗記で戦える「生物・地学」で戦略を分けます。時間がなければ暗記分野を詰め込んでください。
1. 物理・化学(公式と単位)
- オームの法則:$V=RI$。直列回路と並列回路の電流・電圧のルールの違い(直列は電流一定、並列は電圧一定)を確認。
- 圧力:面を押す力(N)÷面積($m^2$)。単位変換($cm^2$ を $m^2$ に直す)でのミスに注意。
- 化学反応式・イオン:酸化・還元、中和反応の式。水の電気分解や、塩酸と水酸化ナトリウムの中和など、代表的な式は書いて覚える。
2. 生物(分類と体のつくり)
- 植物の分類:被子植物・裸子植物、単子葉類・双子葉類の特徴(根・茎・葉脈)。
- 人体のつくり:消化酵素の名前(アミラーゼ、ペプシンなど)と、血液循環(動脈血と静脈血の違い、心臓の部屋の名前)。ここは覚えているだけで点が取れます。
3. 地学(天体と天気)
- 天気:寒冷前線と温暖前線の通過後の天気変化。高気圧・低気圧の風の吹き方(右回り・左回り)。
- 地震:P波とS波。初期微動継続時間から震源までの距離を求める比例計算。
- 地層:柱状図の読み取り。凝灰岩(火山灰)があったら「カギ層」としてつながりを考える。
計算問題で詰まったらすぐ飛ばす!
その先に「知っているだけで解ける問題」がある。
【社会】公民・歴史の流れ・地理の特色
社会は最も即効性がある科目です。特に「公民」は範囲が狭く、数字や用語を覚えるだけで点になります。
1. 公民(憲法と政治の仕組み)
憲法条文のキーワードと、国会の仕組みを整理しましょう。
- 日本国憲法:三大原則(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)。第9条、第25条(生存権)などの有名条文。
- 三権分立:国会(立法)、内閣(行政)、裁判所(司法)の関係図。弾劾裁判や国民審査がどこからどこへの矢印か。
- 選挙制度:衆議院と参議院の違い(任期、解散の有無、被選挙権の年齢)。
2. 歴史(時代区分と並べ替え)
年号の丸暗記よりも「流れ」が大事です。「何時代の出来事か?」を意識してください。
- 並べ替え問題対策:「織田信長→豊臣秀吉→徳川家康」のような基本ライン。明治維新~大戦までの戦争の順番(日清→日露→第一次世界大戦)。
- 文化史:写真を見て「これは天平文化」「これは元禄文化」と分けられるように。仏像や絵画の特徴をパラパラ見ておく。
3. 地理(地図とグラフ)
- 日本の地形・気候:日本海側の雪、太平洋側の乾燥、瀬戸内の少雨。雨温図を見て都市を当てる問題は鉄板。
- 産業と貿易:中京工業地帯(自動車)、阪神(金属・化学)などの特色。農業の特産品(山梨の果物、北海道の酪農など)。
- 時差:経度15度で1時間。東経135度の日本との計算方法を確認。
漢字が思い出せなかったら「ひらがな」で書け!
白紙よりは部分点の可能性がある。
最後に:親御さんから息子さんへ
試験当日は、実力の100%を出すことよりも、「実力の70%を安定して出す」ことが合格への近道です。
「難しい問題はみんな解けない。自分が解ける問題を丁寧にやれば勝てる」と伝えて送り出してあげてください。
体調管理を第一に。ご健闘を心よりお祈り申し上げます!
