江田島にある「海上自衛隊幹部候補生学校」は、防衛大学校や一般大学を卒業した者が、指揮官としての資質を磨くための場所です。
敷地内には「第1術科学校」も併設されており、赤レンガの校舎(旧海軍兵学校生徒館)や、戦艦陸奥の主砲塔など、日本の近代史そのものが息づいています。
江田島は本土と橋(早瀬大橋・音戸大橋)で繋がってはいますが、陸路だと非常に遠回りになります。
そのため、古来より海軍士官がそうしてきたように、「船(フェリー・高速船)」で海を渡って入校するのが正統かつ最短のルートです。
第1章:アクセス攻略 ~「小用港」を目指せ~
地図を見ると、呉市から陸続きになっているように見えますが、広島市内や呉駅からバスや車で行こうとすると、山道と渋滞で非常に時間がかかります。
江田島へのアクセスは、「広島港(宇品)」または「呉港」からのフェリー・高速船が絶対の正解です。
目指す港は江田島の「小用港(こようこう)」です。
1. 広島港(宇品)ルート ~王道のアクセス~
新幹線で広島駅に到着した場合のメインルートです。
| ステップ | 移動手段 | 所要時間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| ① 広島駅 ↓ 広島港 |
路面電車(広島電鉄) 5番「広島港(宇品)」行き |
約30分〜40分 | 駅の南口を出てすぐ路面電車乗り場があります。 タクシーなら約20分(約2,000円)で楽に移動できます。 |
| ② 広島港 ↓ 小用港 |
瀬戸内シーライン 高速船 または フェリー |
高速船:約22分 フェリー:約40分 |
高速船は速いですが揺れます。荷物が多い場合や船酔いが心配な場合は、大型のフェリーが安定しています。 |
2. 呉港ルート ~歴史を感じる航路~
前泊を呉でする場合や、大和ミュージアムに寄ってから行く場合のルートです。
- 呉港(大和ミュージアム隣)から「小用港」行きのフェリー・高速船に乗船。
- 所要時間:高速船で約10分、フェリーで約20分。
- メリット:非常に近いです。呉の艦船を海から眺めながら移動できます。
3. 小用港から幹部候補生学校へ
小用港に到着したら、そこから学校までは約2.5km、上り坂があります。
徒歩だと30分以上かかり、大荷物を持っての移動は困難です。
- バス(江田島バス):
「第1術科学校」行き、または「大柿高校」行き等に乗車。
下車バス停は「術科学校前(じゅつかがっこうまえ)」です。
※「幹部候補生学校」というバス停はありません。術科学校と敷地は同じです。 - タクシー(推奨):
港にはタクシーが常駐しています。
「幹部候補生学校の正門まで」と伝えればOK。約5分〜8分。
着隊日は同期と相乗りして向かうのがスマートです。
第2章:後方支援拠点(宿泊ガイド)
江田島島内には、ビジネスホテルはほとんどありません(民宿や荘厳な旅館はありますが、入校前の準備には不向きな場合があります)。
前泊の戦略は大きく分けて2つ。「広島市内(広島港・駅周辺)」か「呉市内」です。
戦略A:広島港(宇品)周辺で優雅に前泊
広島港のすぐ近くに泊まり、翌朝一番の船で優雅に出勤するスタイルです。
アクセス:広島駅からシャトルバス、またはタクシー。
特徴:G7サミット会場にもなった高級ホテル。ホテルの前桟橋から江田島(小用)行きの高速船が出ている場合もあります(要確認)。
おすすめ理由:
ご家族と一緒の前泊ならここ一択。
瀬戸内海を一望できる部屋でリラックスし、翌朝はホテルの目の前から船に乗れます。
「これから厳しい訓練に向かう」前の、つかの間の休息に最適です。
戦略B:広島駅周辺で利便性重視
新幹線を降りてすぐチェックイン。買い出しや食事にも困りません。
アクセス:JR広島駅直結。
特徴:駅直結のハイクラスホテル。
メリット:荷物が多くても移動が楽。翌朝は路面電車かタクシーで広島港へ。
アクセス:広島駅新幹線口から徒歩5分。
メリット:コストを抑えたい方に。安定のクオリティ。
戦略C:呉市内で海軍の空気に浸る
呉に前泊し、翌朝短い船旅で江田島入りするスタイル。
アクセス:JR呉駅目の前。
メリット:呉港(フェリー乗り場)まで徒歩7分程度。朝食無料。
アクセス:JR呉駅徒歩1分。
メリット:呉の迎賓館的存在。落ち着いて過ごせます。
第3章:入隊前の思い出作り(観光・歴史)
江田島とその周辺は、日本海軍と海上自衛隊の歴史そのものです。
入校後は外出が制限されるため、入校前に見ておくべきスポットを紹介します。
1. 海上自衛隊 第1術科学校(旧海軍兵学校)
アクセス:基地内。
概要:一般見学も可能です(定時ツアーあり)。
見どころ:
「赤レンガ(幹部候補生学校庁舎)」:明治26年に建てられた、イギリス積みレンガの美しい建物。貴方はここで生活し、学びます。
「大講堂」:入学式や卒業式が行われる神聖な場所。
「教育参考館」:特攻隊員の遺書や、東郷平八郎の遺髪などが展示されています。入校前に必ず訪れ、先人の想いに触れ、幹部自衛官としての覚悟を決めるべき場所です。
2. 古鷹山(ふるたかやま)
概要:江田島にそびえる標高394mの山。
「古鷹山へ登れ」:
幹部候補生学校の伝統行事として、この山への登山(という名の駆け足訓練)があります。
入校前に時間があれば、登山道を確認しがてら登ってみるのも良いでしょう。
山頂からは江田内や瀬戸内の島々が360度見渡せ、「この海を守るのだ」という実感が湧きます。
3. 大和ミュージアム(呉市)
アクセス:呉港すぐ横。
概要:戦艦大和の1/10模型や、零戦の実物が展示されています。
意味:
技術の粋を集めた大和の歴史と、その悲劇的な最期。
これからリーダーとなる貴方にとって、技術と戦略、そして命の尊さを学ぶ最高の教材です。
4. 厳島神社(宮島)
アクセス:広島港から高速船で約20分。
概要:世界遺産。
おすすめ:
広島港から近いので、前日に時間があれば参拝できます。
武運長久と、厳しい訓練を乗り越えるための精神統一に。
第4章:江田島グルメ(腹が減っては戦ができぬ)
江田島の名物といえば「カキ」と「うどん」です。
1. 江田島産カキ
江田島はカキの生産量が日本トップクラス。冬の入校であれば、プリプリのカキフライや焼きガキを楽しめます。
「海鮮市場しまのわ」などで食べられます。
2. 大豆うどん(だし道楽)
江田島には「だし道楽」という有名な自動販売機で売っている出汁の製造元があります。
直営店で食べるうどんは、甘めのアゴ出汁が効いていて絶品です。
素朴ですが、疲れた体に染み渡る味です。
3. 同期の桜(江田島銘醸)
地元の酒造メーカー。「同期の桜」という日本酒があります。
入校前夜、ご家族とお父様と酌み交わすならこのお酒でしょう。
(※未成年はダメです。また、二日酔いでの着隊は厳禁です!)
第5章:心構え ~表桟橋から巣立つ日まで~
1. 「スマートで、目先が利いて、几帳面」
これは海軍時代から続く、海軍士官(幹部)の理想像です。
江田島での生活は、この精神を叩き込まれる日々です。
朝は「総員起こし」で飛び起き、アイロンのかかった制服を着こなし、塵一つない清掃を行う。
2. 五省(ごせい)
毎晩、自習終了後に唱和する5つの反省文。
「至誠(しせい)に悖(もと)るなかりしか」(誠実さに欠ける点はなかったか)
この言葉を胸に、貴方は日々成長していきます。
結び
小用港からバスに揺られ、術科学校前のバス停に降り立つと、目の前には威厳ある赤レンガの建物が待っています。
そこは、かつて東郷平八郎や山本五十六も歩いた道です。
不安はあるでしょう。しかし、全国から集まった「同期」がいます。
江田島の桜が、そして青い海が、貴方の入校を歓迎しています。
準備を整え、胸を張って、赤レンガの門をくぐってください。
そしていつの日か、卒業式で「表桟橋(おもてさんばし)」から幹部として巣立つ日を楽しみにしています。
ようこそ、江田島へ。
貴方の航海の無事を祈ります。帽振れ!